津村記久子『カソウスキの行方』

郊外の倉庫管理部門に左遷された独身女性・イリエ(28歳)は日々のやりきれなさから逃れるため、同僚の独身男性・森川を好きになったと仮想してみることに…。第138回芥川賞候補作。

タイトルの、カソウスキって何? 花の名前かと思ってたら、違いました。そんな花は、作中に一度も登場しません。
内容から推察するに、「仮想好き」ってことなのでしょうか。
何故にカタカナ? 異化ってやつですか。
残念なことに、今回私は結局、理解できないまま読み終えてしまいました。文章が難しいのではありません(読みにくいところはあるけど)。主人公のイリエ(三十手前の独身)の気持ちが理解できなかったのです。
第百三十八回芥川賞候補作の表題作を含む三編を収録した作品集。
私は三十寸前の「乙女」でも「独身女性」でもないので、わからないのですが、好きでもない人を強いられもしないのに「好きになろう」とするんですかね。それなら、小説では説得力に欠けるとしても、一目惚れ等で人を好きになるほうが、まだ分かる。
もしや、新しい文学観のつもりなのかしらね。
あと、主人公の性格には問題点がありますが、文章が単調なのであまり雰囲気が伝わってきませんでした。なんか、無性に惜しい。
いっそのこと、変人小説にすれば良かったのに、真面目な感じなので、笑えません。
て、今回も意味わからんこと書いてしもた。だって、この小説、ステレオタイプというか価値観を押しつけてくる節があるのだもの。
女性が皆、ハーブを育ててるわけではないし、化粧水を自分で配合する人なんて少数だと思います。
小道具で気取りたいのは、わかるけど……。無念(とか失礼なこと書いてすみませんツムラさん)。

カソウスキの行方

カソウスキの行方