2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

小阪祐司『「感性」のマーケティング』

感性マーケティングとは、副題にもあるとおり「心と行動を読み解き、顧客をつかむ」マーケティング戦略である。つまり、人の行動に着目し、行動の動機を感性で説明する。著者によると感性工学と呼ばれる学問分野で研究が行われているそうだ。用語はたくさん…

桐野夏生『東京島』

清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ…

笹生陽子『ぼくは悪党になりたい』

時代をうまく表現している作品だと思った。出版されたのは2004年6月。草食系ということばが定着する以前に自分を草食獣に例える主人公兎丸エイジ。美男子の友人羊谷とバーガーショップでだべっている場面からこの物語ははじめる。名前も温厚そのもの。父親…

ヘッセ『知と愛』

原題は「ナルチスとゴルトムント」。相反する二人の男が互いに惹かれあうさまを描いた作品といえば単純明快なのだが、にもかかわらず深い作品であった。美少年ゴルトムントが修道院に入る少年時代から物語ははじまる。見習い僧であるナルチスに感化され、愛…

川上未映子『わたくし率 イン 歯ー、または世界』

芥川賞候補になった表題作及び「感じる専門家 採用試験」の二篇からなる。 文筆歌手を自称するだけあって、流れるような関西弁が気持ち良かったりもするのだが、表題作はそこそこ長めなので途中でだれます。表題作は歯にアイデンティティーのある私が、歯科…