2008-01-01から1年間の記事一覧

2008年度文芸書以外ベスト5

続きまして文芸書以外で五冊あげたいと思います。 【文芸書以外】第五位白石拓『マンガでわかる 超ひも理論』(宝島社文庫)超ひも理論だけでなく、現代物理学について、知識がなくてもわかりやすく読める罪な本でした。宇宙わかた\(^O^)/ マンガでわかる 超…

2008年度文芸書ベスト5

文芸書(小説、戯曲)とそれ以外(エッセイ含む)から五冊ずつ。まずは文芸書から。 【文芸書】第五位モリエール『ドン・ジュアン』(岩波文庫)今年は戯曲に目覚めた一年でした。古典なのにもう面白くて手がとまらなくなる。鈴木力衛さんの妙訳を楽しみながら笑い…

絲山秋子『袋小路の男』

高校の先輩、小田切孝に出会ったその時から、大谷日向子の思いは募っていった。大学に進学して、社会人になっても、指さえ触れることもなく、ただ思い続けた12年。それでも日向子の気持ちが、離れることはなかった。川端康成文学賞を受賞した表題作の他、「…

田中克彦『ことばとは何か』

ことばが初めから完璧なものなら、それは変わらないし多様な形をとることもないはずだ。しかし実際には時間とともに姿を変えるし、地上には何千種類ものことばがある。社会規範に取り込まれながらも逸脱してゆく。このとらえどころのない対象に十九世紀言語…

いとうせいこう『ノーライフキング』

小学生の間で空前のブームとなっているゲームソフト「ライフキング」。ある日、そのソフトを巡る不思議な噂が子供たちの情報網を流れ始めた。呪われた世界を救うため、学校で、塾で、子供たちの戦いが始まる。そして最後に彼らが見た「キング」の正体とは?発…

あさのあつこ『The MANZAI(4)』

うちな、ちょっと瀬田くんに相談したいことあって。あのな、恋についてなんやけど…。憧れの美少女・メグに言われた歩は、「現実はそんなに甘くない」と思いながらも、内心ドキドキ。ついに、歩の“恋路”に進展があるのか!?ボケの貴史とツッコミの歩―我らが「…

ローベルト・ムージル『寄宿生テルレスの混乱』

お金を盗んだ美少年バジーニが、同級生に罰としていじめられている。傍観していたテルレスは、ある日突然、性的衝動に襲われる…。寄宿学校を舞台に、言葉ではうまく表わしきれない思春期の少年たちの、心理と意識の揺れを描いた、『特性のない男』ムージルの…

「蒼き狼と白き牝鹿・元朝秘史」

実は昨日、掘り出しものを手に入れたのだった。スーファミ用ソフト「蒼き狼と白き牝鹿・元朝秘史」が中古で二百五十円であったので即買い。まったく同じゲームのPC版はすでに手元にあるのですが、にもかかわらず買ってしまうのですな。光栄の歴史シミュレ…

池田清彦『科学とオカルト』

科学の本質と歴史を裏側からあぶりだす! 社会、科学、オカルト。この3つにはどんな関係があるのか? 客観的な科学の登場は、たかだか数百年前のことである。科学史の視点から、科学の本質を探る論考。 個人的には久々のヒットです。専門書ではなく一般の人…

Portishead「Portishead」

しょっぱなの「cowboys」から不安な気分になってきた。でも、必要というか私の欲する音楽でもあるとです。 はっきりしてないのに音がきれいていう矛盾。本人らはトリップホップと呼ばれるのを嫌がってるらしく、このアルバムを聴くかぎりじゃエレクトロニカ…

サークルの合宿

合宿のことあれこれ。雑な文章で適当に書きます。 13日夜京都駅出発!バスに揺られて八時間。信州の斑尾(まだらお)高原へ。酔いどめを飲んだせいか酔わない。いきなり一回生の子たちと絡むザ・うざい先輩と化す私。眠れないまま朝を迎える。六時頃到着するが…

ジョセフ・メイザー『数学と論理をめぐる不思議な冒険』

ユークリッドからカントール、ゲーデルまで、数理論理学に関わった数学者を中心とした話題を提供する読み物です。幾何学、解析学、代数学、確率、などの幅広い分野に題材を取り、それらと数理論理学との関わりを通して、数学のさまざまな分野の魅力を知らし…

鹿島田真希『一人の哀しみは世界の終わりに匹敵する』

奇蹟をめぐる5つの“聖なる愚者の物語”。“楽園”を追われた子どもたちの魂の放浪…。連載時より各紙誌で絶賛された、文芸賞作家による話題の連作小説。 夜中に実家へと帰るための準備をしていて、それと同時平行で本書を読んでました。前日(当日?)にならないと…

「ジョンフンのオレンジ」

という韓流ドラマの?をレンタルして借りて観た。韓国の俳優はまったく知らないのでジャケ借りですね。 ジョンフンのオレンジを紹介しているブログこういう感じ。面白かったです。韓流や華流って、近年ものすごくレンタルビデオ屋のスペースを占めるようにな…

角田光代『八日目の蝉』

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか−−理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。家族という枠組みの意味を探る、著者初めての長篇サスペンス。 またしても早朝に本を読んだ。昨年発売されてとびきり評判が良かったので、…

東野圭吾『容疑者Xの献身』

昨日は、明け方の四時頃まで、時間を忘れてを読んでいた。そして、「石神さんはネ申だ」という結論に至った。。 この作品は、天才物理学者・湯川学こと「ガリレオ先生」の活躍を描いたシリーズものの一作です。いきなりこの作品から読んでも違和感なく世界に…

粕谷知世『ひなのころ』

お雛様や、お人形とも話せた幼い日々、病弱な弟を抱える家族の中で、ひとり孤独を感じていた頃、将来が見えず惑い苛立った思春期。少女・風美にめぐる季節を切り取り、誰もが、心のなかに大事に持っている“あのころ”の物語を描き出す。期待の新鋭、初の文庫…

小説に物語は必要か

昨日の夜中は小説のようなものを書いていて、こんなんでいいのかと思い悩んでいました。HTMLも勉強したのに、ソフト買ったし何をしているのだろう自分という感じなのです。俄然筆力が追いついていない。 小説を読むのは大好きで、厚顔無恥ぶりの一端を当ブロ…

円城塔『オブ・ザ・ベースボール』

ファウルズ。とある町の名前でこの町の名前。人が降ることで有名で、地理の試験に出ることは決してないが、誰もがみんな知っている。人が降るっていうのは人が降るってことで、つまり文字通り人が降る。降るなら雨か雪、せいぜいがところ蛙程度にしておいて…

J・P・マッケボイ『マンガ 量子論入門』

正直いって、ほとんど理解できなかった。うーん、量子論に関する歴史をずらずらと並べられても、文章を読むのも容易でないし、頭に入ってこないのだ。まあ、それは私の処理能力がついていけないだけで、自分が悪い部分もあるのでしょう。 あと、この本は翻訳…

山崎ナオコーラ『人のセックスを笑うな』

19歳のオレと39歳のユリ。恋とも愛ともつかぬいとしさが、オレを駆り立てた。「思わず嫉妬したくなる程の才能」と選考委員に絶賛された、せつなさ 100%の恋愛小説。第四一回文藝賞受賞作。 ずっとずっと読みたかった本。一日で読み終えました。描写をしない…

「禁じられた遊び」

反戦映画だそうですが、尋常ではない。のっけから、主人公の女の子は両親を目の前でなくします。 Un chien est mort.(犬はもう)死んだよ 両親だけではなく、犬も死んでいくあてのない女の子。彷徨ったあげくにドレ家に居候することになります。そこでミシェ…

星里もちる『りびんぐゲーム』

続きが気になるドタバタ物語。ナミフクDMに入社二年目の不破雷蔵くん。ひょんなことから、自宅が会社になり…。十五歳の女の子と同居することにもなります。漫画こそ細部が命だと思うけど、コマ割りから物語の運び方まで随所に無駄がまったくなく、読むほう…

機本伸司『神様のパズル』

第三回小松左京賞受賞作、つまりはSF作品ということになります。 留年寸前の主人公は担当教授から、不登校の天才飛び級少女・穂瑞沙羅華をゼミに参加させるようにと命じられた。苦し紛れに「宇宙は作ることができるのか」という疑問を彼女にぶつけたところ…

「エレキ歌謡ア・ゴーゴー」

やばい。やばすぎるぞ。熱すぎて俺、感電しちまったぜ(死語の世界)。大層で豪快ゴージャスなサウンドを誰が再現できようか、いや、再現できまい。テレビで見る昔の歌謡曲番組なんかでは、バックがよくオーケストラ編成だったりしたのですが、あれほど爽快な…

古野まほろ『探偵小説のためのエチュード「水剋火」』

返品中に見つけて買った本。この作品は知らなんだが、古野さんといえば「天帝」シリーズの人やん、と今回初挑戦の私が言っても仕方がないか。 本格ってこんなところまでいってるの――というのが私の感想です。文章といい会話といいちょっとついていけません。…

「舛添要一 朝までファミコン」「街」

今日は名作ゲームの紹介をいたします。まずは、ファミコン用ゲームで、「舛添要一 朝までファミコン」。得意先を接待したりして昇格すればクリアという、ビジネスゲームなのですが、傑作ですよ。当ゲームにおける舛添氏の存在意義がいまいちわかりませんが、…

夏の100冊POP

そういえば、バイト先で夏の100冊(新潮・角川・集英社文庫)のポップを書かなければならないのだった。提出期限もすぎて、店長に催促されて気付く。 なににしようか、とは考えていたのだけど、テスト期間だし新しく本を読むのは嫌だなぁと思っていた。読んだ…

水田美意子『殺人ピエロの孤島同窓会』

十二歳のときに書き上げた作品だそうで、明日はテストだというのに読むのを止められなかった。髪を切るのも、忘れた。 本土から1500キロ離れた東硫黄島。火山の噴火により孤島となった島で久しぶりに同窓会が開かれることになった。ところが、殺人ピエロの登…

阿部和重『アメリカの夜』

映画学校を卒業し、アルバイト生活を続ける中山唯生。芸術を志す多くの若者と同じく、彼も自分がより「特別な存在」でありたいと願っていた。そのために唯生はひたすら体を鍛え、思索にふける。閉塞感を強めるこの社会の中で本当に目指すべき存在とは何か?新…