水田美意子『殺人ピエロの孤島同窓会』

十二歳のときに書き上げた作品だそうで、明日はテストだというのに読むのを止められなかった。髪を切るのも、忘れた。
本土から1500キロ離れた東硫黄島。火山の噴火により孤島となった島で久しぶりに同窓会が開かれることになった。ところが、殺人ピエロの登場でクラスメイトが次々に惨殺されていく。
否応にも「バトル・ロワイヤル」を連想させる大量殺人。ですが、深刻な雰囲気にはならず、主人公は意外にのんびりしていて間延びしてしまいました。設定では主人公は東大生ということになっていますが、それにしては語り口が幼い、という事実には目をつむりましょう。
いくらネットやテレビドラマ、紙媒体で警察や役所、その他もろもろの知識が手に入りやすい状況だといっても、なかなか複雑な構成や、場面に適した情報の提示の仕方、多くの人数を描ききる技能、アクロバティックな伏線や結末など、挙げればキリがないのですが、十二歳の少女なこれほどのものを書けるとは! まいりました。
甘いところはありますが、生温い恋愛小説なんかに比べると読むに耐えうる小説ですよ。

殺人ピエロの孤島同窓会 (宝島社文庫―『このミス』大賞シリーズ)

殺人ピエロの孤島同窓会 (宝島社文庫―『このミス』大賞シリーズ)