2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

内田樹『映画の構造分析』

副題は「ハリウッド映画で学べる現代思想」。映画評論の本ではありません。<誰でも知っている映画を素材に使った、現代思想の入門書>なのです。 第1章「映画の構造分析」において、内田は<メディアから提供されるすべての情報は「物語」です>と言いきり…

「蒲田行進曲」

つかこうへいの原作をつか自身が脚色して映画化した作品。監督は深作欣二氏。小説版とは大筋は同じですが、細かいところはけっこう違いました。映画のほうがわかりやすくなってるかな。 小説のが想像力で補うぶん幾分か怖いのですが、映画版でもカタストロフ…

つかこうへい『蒲田行進曲』

映画『新撰組』で、はじめて主役を演ることになった銀四郎。その恋人で、かつてのスター女優小夏。そして銀四郎を慕う大部屋のヤス。銀四郎は、あたらしい「女学生のような」女の子に熱を上げ、妊娠した小夏をヤスに押しつけようとし、小夏は銀四郎を諦めて…

内田樹『子どもは判ってくれない』

語り口とは裏腹に刺激に満ちた本である。内田先生が大人の世界を子どもへ向けて書いた本といえばいいのだろうか。題材が多岐にわたる時評にもかかわらず全然古びていない。文庫版のためのあとがきで著者自らが述べているように内部情報などの新規情報を含ん…

水月昭道『高学歴ワーキングプア』

副題は「フリーター生産工場」としての大学院。大学院博士課程まで進学し、博士の学位を得るものの就職先がないというポスドク問題を扱った本です。文部科学省が大学院の定員を増員したため、大学院への入学が容易になり本来取得が難しかった博士の学位も比…