2010-01-01から1年間の記事一覧

2010年度ベスト5

あまり読めてないけど今年読んだ本のなかから印象に残った本を挙げてみたいと思います。第五位堤清二、三浦展『無印ニッポン―20世紀消費社会の終焉』(中公新書)示唆に富んだ対談集でした。無印良品のコンセプトなり堤さんの考え方を垣間見ることのできるエピ…

羽田圭介『不思議の国のペニス』

男子校1年の遠藤は自称“エロセレブ”。2つ歳上の女とSMならぬSS関係を続けるが…。“エロ”から始まり、“ラブ”に落ちた、ぼくとナオミの恋の行方。逆走する純愛小説の傑作。『黒冷水』の著者が贈る文藝賞受賞第一作。 男子高校生の生態ならぬ性態が描かれている…

セクマイについて思うこと

ブログでセクマイのこと書くのもどうかなと思うのだけど書いてみる。セクマイというのはセクシャルマイノリティの略で性的少数者のことを指す。僕もその一人でゲイ。同年代のいろんな当事者のかたと話す機会があって悩むのは、協力者とセクマイの関係なので…

芸能人にたとえるのは愚問

よくある「芸能人では誰が好き?」とか「どんな子がタイプなん?」みたいな質問。そこでYOUとか友近とか答えると年上すぎていつもひかれる(ちなみに僕はゲイなので性的対象にはなりません)。それは僕がおかしいというよりも日本が超ロリコン社会なんじゃない…

『かわいい悪魔』『京大M1物語』

『かわいい悪魔』志村貴子さんによる単発作品を集めた短篇集です。表題作を読んでも最初はよく内容が理解できず戸惑う。魔女と少年の交流を描いてるんだけど非日常なはなしなので不意を突かれちゃった。少年がとてもかわいらしいのん。のほほんと和むかんじ…

がんこ堂島アバンザ店

チキン南蛮日記です。がんこ堂島アバンザ店でチキン南蛮定食680円(税込714円)をいただきました。今日は祝日(文化の日)だったのですが、休日でもランチメニューが注文できるのです。ご飯大盛OKお代わり自由でメンチカツもついてすごいボリューム! 油濃いか…

物語構造分析の理論と技法(2-1)

このところ怠けすぎていたため研究が進んでいない……。卒論では物語の構造分析が主軸になるので高田明典氏の著書『物語構造分析の理論と技法』の第II部「構造分析手順」をまとめてみました。以下第II部前半の目次です。 第II部 構造分析手順はじめに 第8章 典…

内田樹『映画の構造分析』

副題は「ハリウッド映画で学べる現代思想」。映画評論の本ではありません。<誰でも知っている映画を素材に使った、現代思想の入門書>なのです。 第1章「映画の構造分析」において、内田は<メディアから提供されるすべての情報は「物語」です>と言いきり…

「蒲田行進曲」

つかこうへいの原作をつか自身が脚色して映画化した作品。監督は深作欣二氏。小説版とは大筋は同じですが、細かいところはけっこう違いました。映画のほうがわかりやすくなってるかな。 小説のが想像力で補うぶん幾分か怖いのですが、映画版でもカタストロフ…

つかこうへい『蒲田行進曲』

映画『新撰組』で、はじめて主役を演ることになった銀四郎。その恋人で、かつてのスター女優小夏。そして銀四郎を慕う大部屋のヤス。銀四郎は、あたらしい「女学生のような」女の子に熱を上げ、妊娠した小夏をヤスに押しつけようとし、小夏は銀四郎を諦めて…

内田樹『子どもは判ってくれない』

語り口とは裏腹に刺激に満ちた本である。内田先生が大人の世界を子どもへ向けて書いた本といえばいいのだろうか。題材が多岐にわたる時評にもかかわらず全然古びていない。文庫版のためのあとがきで著者自らが述べているように内部情報などの新規情報を含ん…

水月昭道『高学歴ワーキングプア』

副題は「フリーター生産工場」としての大学院。大学院博士課程まで進学し、博士の学位を得るものの就職先がないというポスドク問題を扱った本です。文部科学省が大学院の定員を増員したため、大学院への入学が容易になり本来取得が難しかった博士の学位も比…

島田恒『NPOという生き方』

NPOの役割と経営について比較的詳しく述べられている。NPOとは直接関係ないところもあるが、経営学の立場から書かれているところは学ぶところが多く、企業関係者にもお勧めできる本であった。多少読みづらい部分もあるが、新書サイズなので手軽に読め…

山岡義典編『NPO実践講座2』

副題は「人を活かす組織とは」。NPO法人の運営に携わっている方が、法人設立の経緯や事業内容、運営方法などを綴った本。いわゆる体験談なので読みやすくNPOを立ち上げようと考えている人にとっては参考になるところも多い。 第一章は総論。企業との違…

『キテレツ大百科』

いわずと知れた藤子・F・不二雄さんのコミック。小学館の藤子・F・不二雄大全集で読みました。 似たような物語でも読者をひきつける力と、特徴のあるキャラクターが全面にでていて飽きさせない。さすがだなあというか職人芸の域に達しています。なによりオ…

「ライフ・イン・ア・カートゥーン・モーション」

ミーカのアルバムはどこまでもポップ。フレディ・マーキュリーを彷彿とさせる高音ボーカルに、いろんな人の声が加わってたのしくないはずがない純度100パーセントのエンターテイメントに仕上がっておりました。ピアノオリエンテッドな感じで遊び心満点。 …

ジョナサン・カラー『文学理論』

平易でわかりやすい文学理論入門書。本書の特徴は、文学理論の流派を歴史や人物で区分するのではなく、各流派に共通するトピックについて述べることで文学研究もとい文学理論に触れている。1 理論とは何か? <理論というのは名前(ほとんどが外国人の名前)…

参考文献一覧チェックリスト

卒業研究では物語マーケティングを行おうと考えております。物語マーケティングとはなんぞや?という話題はのちのちに置いといて。先日テーマ発表したところ自分の詰めが非常に甘かったためもう一度検討してみてねと教授に言われました。非常に悔しいので頑…

「キャプテン・スーパーマーケット」「茶の味」

「キャプテン・スーパーマーケット」「死霊のはらわた」シリーズの三作目。タイムスリップもののB級ゾンビ映画。ツボにはまる人ははまるかなー。中世にタイムスリップした主人公が元の世界に戻るためにネクロノミコンを探しだすおはなし。蘇った死者の軍団…

古屋×乙一×兎丸『少年少女漂流記』

僕はみんなと同じようにうまくやれているだろうか? このままちゃんと大人になれるのだろうか? 友情、恋愛、容姿、不登校、家族…抱えきれない不安と過剰な自意識にさいなまれて、少年少女たちは非日常の別世界に迷い込む。妄想か、現実か。漂う彼らが行き着く…

小阪祐司『「感性」のマーケティング』

感性マーケティングとは、副題にもあるとおり「心と行動を読み解き、顧客をつかむ」マーケティング戦略である。つまり、人の行動に着目し、行動の動機を感性で説明する。著者によると感性工学と呼ばれる学問分野で研究が行われているそうだ。用語はたくさん…

桐野夏生『東京島』

清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。その後、日本の若者、謎めいた中国人が漂着する。三十一人、その全てが男だ。救出の見込みは依然なく、夫・隆も喪った。だが、たったひとりの女には違いない。求められ…

笹生陽子『ぼくは悪党になりたい』

時代をうまく表現している作品だと思った。出版されたのは2004年6月。草食系ということばが定着する以前に自分を草食獣に例える主人公兎丸エイジ。美男子の友人羊谷とバーガーショップでだべっている場面からこの物語ははじめる。名前も温厚そのもの。父親…

ヘッセ『知と愛』

原題は「ナルチスとゴルトムント」。相反する二人の男が互いに惹かれあうさまを描いた作品といえば単純明快なのだが、にもかかわらず深い作品であった。美少年ゴルトムントが修道院に入る少年時代から物語ははじまる。見習い僧であるナルチスに感化され、愛…

川上未映子『わたくし率 イン 歯ー、または世界』

芥川賞候補になった表題作及び「感じる専門家 採用試験」の二篇からなる。 文筆歌手を自称するだけあって、流れるような関西弁が気持ち良かったりもするのだが、表題作はそこそこ長めなので途中でだれます。表題作は歯にアイデンティティーのある私が、歯科…

野上暁『越境する児童文学―世紀末からゼロ年代へ―』

『飛ぶ教室』に「児童文学一九九〇〜二〇〇五」として連載されていた文章を一冊にまとめた本です。児童文学評論というよりはブックガイドというかんじで、考察よりも本の粗筋紹介にページが割かれているのが特徴である。「かいけつゾロリ」みたいな幼年向け…

堤清二、三浦展『無印ニッポン』

T型フォードの発売からリーマン・ショックまで一〇〇年。自動車の世紀だった二〇世紀が終わり、消費文化は大きな曲がり角を迎えている。大流通グループ「セゾン」を牽引し、無印良品を生み出した堤と、地域の文化の衰退を憂慮する三浦が、消費の未来、日本の…

内田裕也『俺はロッキンローラー』

永遠のロッキンローラー内田裕也の幻の名著が遂に文庫化!少年時代のとんでもない話、’76年当時のRock’n Rollな現場、魂ゆさぶる金言集など、裕也スピリット満載の1冊。文庫化ではデザインも忠実に再現。 タイトルにもあるとおり、人生をロックンロールしてい…

近田春夫「考えるベスト」

ハルヲフォンからRICEまで、近田春夫のこれまでのキャリアを総括するようなベスト・アルバム。全体を通して聴いてみることで彼にとってのロックンロールが“自然に聴こえる人工的な音”から“人工的に聴こえる自然な音”に移行していくのがわかるはず。 近田春夫…

森達也『放送禁止歌』

岡林信康『手紙』、赤い鳥『竹田の子守唄』、泉谷しげる『戦争小唄』、高田渡『自衛隊に入ろう』……。これらの歌は、なぜ放送されなくなったのか? その「放送しない」判断の根拠は? 規制したのは誰なのか? 著者は、歌手、テレビ局、民放連、部落解放同盟へ…