2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

津村記久子『カソウスキの行方』

郊外の倉庫管理部門に左遷された独身女性・イリエ(28歳)は日々のやりきれなさから逃れるため、同僚の独身男性・森川を好きになったと仮想してみることに…。第138回芥川賞候補作。 タイトルの、カソウスキって何? 花の名前かと思ってたら、違いました。そん…

LED ZEPPELIN「LED ZEPPELIN IV」

名盤中の名盤を聴きました。軽音サークルに入っていながら、音楽をほとんど聞いていない私。知らないとは罪ですね。 「BLACK DOG」という曲から始まります。ボーカルの高い声と掛け合いをするリズミカルなギター。さすがジミー・ペイジ。音がきれいだわ。と…

斎藤美奈子『文学的商品学』

本屋で以前、立ち読みしていたのですが、文庫になったので購入しました。もう、ステキ。読者の視点から容赦なく精緻に語る斎藤節は本書でも健在です。青春小説、風俗小説、ホテル小説など、各ジャンルの個々の作品の具体的な「モノ」の描写から、商品である…

パオロ・マッツァリーノ『反社会学講座』

読んでる途中の本が、他にもあるのに一気通読。面白いを通り越して、痛快なまでに楽しかった。社会問題(少年犯罪、小子高齢化、労働問題など)を鮮やかに軽やかに紐解いていく手腕は、なんともまぁ頼もしいものです。 論理的なだけではなく、面白いのです。そ…

Talking Heads「Remain in Light」

「Born Under Punches」という曲から始まる。全体的にリズムは打ち込み風味の反復を基調としています。そこに所々、意表をつくようなリフが入る。ジャンルは何なんでしょう。 「The Great Curve」はボンゴが入り、陽気なのにクールな曲に仕上がっています。…

連続テレビ小説

NHKの連続テレビ小説。ごくたまにチャンネルを変えて、「あ、やってる」と見たりするのだが、NHK側に決まったテーマがあるのか、毎年内容が似たりよったりしているような気がします。主人公は女性ですよね。結構長いスパンでの主人公の成長が描かれる…

コルネイユ『嘘つき男』

コルネイユといえば悲劇のほうが有名ですが、これは一級品のエンターテイメントでしょ。 ポアティエで法律学校を卒業し、地元パリへ昨日戻り、晴れて貴族の身となるドラント。従僕クリトンを従え、社交の道を進むが……。女を誘惑するために、見栄をはるために…

町田康『きれぎれ』

なんという日本語だー。 ランパブ通いが趣味の絵描きの「俺」。浪費家で夢見がちな性格のうえ、労働が大嫌い。金に困り、自分より劣る絵なのに認められて成功し、自分が好きな女と結婚している吉原に借りにいくが……。というのが表題作のあらまし。だが、この…

長嶋有『猛スピードで母は』

「私、結婚するかもしれないから」「すごいね」。小六の慎は結婚をほのめかす母を冷静に見つめ、恋人らしき男とも適度にうまくやっていく。現実に立ち向う母を子供の皮膚感覚で描いた芥川賞受賞作と、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんとの共同生活を爽や…