ジョセフ・メイザー『数学と論理をめぐる不思議な冒険』

ユークリッドからカントールゲーデルまで、数理論理学に関わった数学者を中心とした話題を提供する読み物です。幾何学、解析学、代数学、確率、などの幅広い分野に題材を取り、それらと数理論理学との関わりを通して、数学のさまざまな分野の魅力を知らしめる啓蒙書でもあります。各章で、著者の体験(数学的な冒険や放浪の旅)を通して、数理論理学がどう適用されるかを、高校レベルの知識でわかるように易しく説明しています。数学的思考法を開陳する「奇妙な味」の数学入門書です。3部構成で、論理/無限/確率に分かれています。

本書は、自伝的物語によって読者を魅了しつつ数学のお勉強もしましょうという構成をとった本です。
論理で論理学及び数学的証明についてを、無限では無限と数の性質等を、現実では確率論について触れています。物語のところはともかく数学の解説部分は、文系の私にはきついものがありました。
なので、私なんかは先人達の言論集として楽しみましたが、それで良かったのかしら。
数学な苦手な人は物語性を信じて読みすすめるしかないのですが、物語と数学の結合が中途半端で注意が必要かも。小説を読むようにいい展開になったところで真面目に数学の解説をされて、それが(私の知能のせいではありますが)難解に思えた日には……。
著者の苦労は目にしみますが、「帯に短したすきに長し」的な本でした。数学がある程度理解している人には不要だろうし、かといって苦手なかたとってはちょっと厳しいと思われます。
不思議の国のアリス」がかなり引用されていて興味深かったのは美点かな。数学のみならず的確な引用というか。
で、アリス読みたくなりました。結構、数学史がでてまいりますので、そういうのが好きな人や、本物の論理力を身に付けたいかた(ビジネス書じゃ満足できないかた)にはお薦めでーす。

数学と論理をめぐる不思議な冒険

数学と論理をめぐる不思議な冒険