デイヴィッド・アーモンド『クレイ』

これが本当に児童文学?
デイヴィッド・アーモンド『クレイ』(河出書房新社)を読み終えました。
重くて深いなあ。
子供の頃、この本を読んでたら、どーなってたんだろうと思わずにはいられない作品でした。
フェリングに越してきた少年スティーブンのいうままに、粘土に生命を与える儀式を手伝うディヴィ。
直後に憎んでいたけんか相手が死んだと知って……。
〈めちゃくちゃ普通で、めちゃくちゃ純粋で、めちゃくちゃ想像力を持ってる〉――スティーブンが、ディヴィに真実を語るさいに、初めて出会ったときのことを話す場面での台詞。ディヴィはまさしく、普通の少年なのだ。
帯に〈現代版フランケンシュタイン〉とあり、じゃあファンタジーね、なんて思って読み始めたのだけれど、こういう物語は文字の上だからこそ楽しめるんじゃないかと、思いました。
物語が最大限に効力を持つように計算された、緻密な構成で、さらに人の心をがしっと掴む心情の数々。
ディヴィが普通の子だからこそ、ニュートラルな気持ちで共感できるし、少年(少女)時代を懐かしく見据えられる。
てのは、やっぱり過ぎた人の言うことで、今を生きている少年たちは、これを読んでどう思うのだろうか?
気になるー。読書で人生変わるってことも、良かれ悪かれあることですからね。
大人にも、超おすすめしますよ。
本文に頻繁に登場する言葉に〈あいよ〉という、相づちの台詞があるのですが、小気味よいリズムで癖になっちゃいそう。
翻訳が金原瑞人さんだけあって、いつも心に響く言葉を届けてくれて、ありがとう、って感じです。
あいよ、って原文では何というのだろうか。あいよ、を広めましょう。

クレイ

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