墨谷渉『パワー系181』

第31回すばる文学賞の受賞作。
最後まで読ませる筆力はある。文芸評論家の渡部直己山田詠美のデビュー作『ベットタイムアイズ』を〈色の黒さは百難隠す〉と、つまり、主人公の対象が日本人ではなく黒人であったために成立した物語だと評していたが、それに倣うとすれば、この作品は、主人公・リカが女性であるからこそ、完璧な肉体(筋肉ね)が物語の活力たりえているのだ、ともいえる。
リカは百八十一センチの巨体を持つ格闘系の女の子。巨体を利用して、風俗ではなく、金を払ってもらうがこちらは脱がない、相手は勝手に射精してもよい、というよく分からない仕事を自分ではじめる。
ガタイの良い女好きのためのクラブ(?)、でいいのかな。なんとも形容しがたいところが、物語の核であり存在意義でもあるのだね。
そこに集まる、測量フェチな男を始めとする変人達。そのなかに、作者はもう一人、主人公格のチビ男・瀬川を用意し、二人が出会うところで物語はクライマックスを迎える。
対比は効いているかな。驚愕のラストでした。小説だから、まあ、なんでもありだよね。

パワー系181

パワー系181