木下半太『悪夢の観覧車』

ゴールデンウィークの行楽地で、手品が趣味のチンピラ・大二郎が、大観覧車をジャックした。スイッチひとつで、観覧車を爆破するという。目的は、ワケありの美人医師・ニーナの身代金6億円。警察に声明文まで発表した、白昼堂々の公開誘拐だ。死角ゼロの観覧車上で、そんな大金の受け渡しは成功するのか!?謎が謎を呼ぶ、傑作サスペンス。

バイト先の店長に無理矢理勧められていた本をやっとこさ読み終えました。
店長は山田悠介が好きなだけあって、この作品も山田系。ゴールデンウィークの行楽地で、観覧車をジャックする話です。スケールが大きいのか小さいのかはともかく、帯によると〈謎が謎を呼ぶ、傑作サスペンス〉だそうですよ。
どこを取り出してもよいのだが、取り敢えず適当に開いたページの目に入った部分を提示してみる。
〈おい! 己の貧弱ボディを想像してどうするんだよ! ダイ・ハードだ、ダイ・ハード!(略)死んじゃダメだろ!
「パパ! もうすぐ頂上だよ! すっげえ高い! あっ、海! あっ、船! でっけえ船! タイタニックだ! 沈め!」〉
家族四人で海遊館の観覧車に乗っている場面において、高所恐怖症の父が自分を励まそうとして失敗に終わる地の文と、それに追い打ちをかける息子の台詞ですが、略の部分を含めても文の終わりに。は一個も使われず、?か!のオンパレード状態。!の多用は、!の価値暴落を意味し、!が単なる記号にしかならない。
のはいいけれど、小説でこのような文章を読みたくないです、個人的には。
視点も時間も容赦なく移動するが、分かりにくいというかわざとらしい。
話を無理矢理ひとつにまとめてもあまり意味がないような……。まあ、書けもしないのに愚痴ばっかり言っては駄目ですね。

悪夢の観覧車 (幻冬舎文庫)

悪夢の観覧車 (幻冬舎文庫)