金井美恵子『小説論 読まれなくなった小説のために』

大学読書人大賞はA・C・クラーク『幼年期の終わり』(光文社古典新訳文庫)に決定致しました。ノミネート作を見たときは一瞬驚いたけど、蓋を開けてみると穏当な結果で、何も申すこともありますまい。

金井美恵子『小説論 読まれなくなった小説のために』(朝日文庫)を読み終えたんだけど、感想を書こうにも書けない。

いつものことながら、容赦のない金井節が全面に展開しているので、そういうのが好きな人は、読んでみて。岩波ホールでの講演をテープ起こしした本編と、金井の小説についての対談二本から構成されています。

〈芳川さんには随分長く私のことをいろいろなところで書いてくださって(中略)ちょっと違うだろうって思いますけどね。悪いけどまるで面白くない〉なんて、思っててもなかなか言えませんって。

内容は、小説論というか、小説の役割についてです。

小説論 読まれなくなった小説のために (朝日文庫 か 30-3)

小説論 読まれなくなった小説のために (朝日文庫 か 30-3)